エステ解剖生理学~神経系Ⅱ
エステティックに携わって45年、エステ伝道師 清水收一が伝える<本物のエステティックを知って欲しい>
エステ解剖生理学~神経系Ⅱ
末梢神経
中枢神経(脳、脊髄)以外の、全身に分布している神経を『末梢神経』といいます。
皮膚や内臓で受け取った刺激を中枢に届ける「感覚神経」と、反対に脳から出される指令を(脊髄を介して)筋肉などに伝える「運動神経」を併せて《体性神経》といい、臓器や血管、腺などの器官に自動的に調整している「交感神経」「副交感神経」の《自律神経》と併せて、大きく二つの神経系からなっています。
体性神経
体性神経は脳に出入りする12対の「脳神経」と、脊髄に出入りする31対の「脊髄神経」からなり、自分の意思によって制御が可能な随意神経であり<動物神経>とも呼ばれています。
- 脳神経 :嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経
- 脊髄神経:頸神経(8対)、胸神経(12対)、腰神経(5対)、仙骨神経(5対)、尾骨神経(1対)
自律神経
中枢は大脳の視床下部にあり、大部分の器官や内臓には交感神経・副交感神経の両方が分布し、シーソーのように興奮と抑制のバランスを取っています。
これを「拮抗的二重支配」といいます。
自律神経 | 交感神経 | 副交感神経 |
---|---|---|
支配神経 | 視床下部 | 視床下部 |
場所 | 脊髄の胸髄と腰髄の2番目まで | 脳幹(中脳・橋・延髄)と仙骨 |
優位性 | 活動している・起きている時 | くつろいでいる・寝ている時 |
神経伝達物質 | アドレナリン・ノルアドレナリン | アセチルコリン |
全体の働き 心拍数 気管支 瞳孔 消化管 膀胱・肛門 毛細血管 | 緊張 上昇 拡張 拡大 低下 便意・尿意が抑制 収縮 | 弛緩 減少 収縮 縮小 活発 便意・尿意を催す 拡張 |
神経節 | 脊髄の近く | 器官の近く |
脳の三位一体説
1960年代、アメリカの脳科学者ポール・マクリーンが唱えた『脳の三層構造説(三位一体説)』 によると、人間の脳は「原始爬虫類→旧哺乳類脳→新哺乳類脳」の順に進化し、機能を複雑化させ高度化したと説いています。
・原始爬虫類脳:最も古い年代に発生した脳で、基本的な生命維持の担い、他に生きて行く為の脳(生命の座)→視床下部、脳幹
・旧哺乳類脳 :快・不快に結びつく本能的情感や感情、行動を担い、たくましく生きて行く為の脳(本能の座)→大脳辺縁系
・新哺乳類脳 :最も新しい年代に発生した脳器官。言語機能と記憶・学習能力・創造的思考など、高度で複雑な情報処理を行う中枢。
(知性の座)→大脳新皮質の右脳・左脳
脳と人体のつながり
神経系は全身の感覚器で受け取った情報信号を脳に伝え、脳で情報処理が行わ
れた後に目的の効果器(筋肉や内臓など)に指令を出して運動を起こします。
脳に対して求心的に働く神経(感覚神経)は上行性(求心性)神経路を通り、脳から
遠心的に働く神経(運動神経)は下行性(遠心性)神経路を通ります。
エステティックでは、この求心性神経路を経て様々な効果をもたらします。
例えば、精神的・肉体的にストレスが蓄積し、大脳辺縁系が収縮している方に
心地よいマッサージ刺激で、心身をリラックスさせて大脳辺縁系を弛緩させ、
ストレスの解消を図ります。
エステシックの手技や使用する化粧品が、いかに脳に良い効果をもたらすか、
お客様に具体的にお話しできるようにしましょう。
『素晴らしくしようじゃないか。エステティック!』
まとめ
エステ解剖生理学~神経系Ⅱ 前回に引き続き、今回は末梢神経系、自律神経、脳の三位一体説、
そして、脳と人体のつながりに付いてお話致しました。
ご質問等御座いましたら、ご連絡下さい。
1982年、エステティックサロンのプロデュースとコンサルティング、商品の提供などを主な業務とするエステティック総合商社・株式会社サンクを設立。
『素晴らしくしようじゃないか、エステティック!』を合言葉に、エステティックの正しい理論や新しい技術の普及に努めると共に、オーナーのヴィジョン『夢』とサロンの魅力が詰まったオンリーワンサロン作りを目指し、エステサロンの企画から経営までトータルでサポートしています。
主な著書:最新レジャー産業開発・経営モデルプラン、女性向け・新レジャー事業(綜合ユニコム)、SOINESTHE、ESTHE NET(新美容出版)
ビューティーソムリエールエステティック理論編(サンク)
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